ロタウイルス感染症は、主に感染者の便や嘔吐物を介して、人から人へとうつる病気です。食べ物からの感染も可能性としては否定できませんが、それ以上に日常生活の中で注意すべき感染経路がたくさんあります。これらの経路を理解し、適切な対策を講じることが、感染予防には不可欠です。最も重要なのは、手指を介した感染です。感染者の便や嘔吐物には大量のロタウイルスが含まれており、これらが直接的または間接的に手指に付着し、その手で口や鼻に触れることでウイルスが体内に侵入します。特に、トイレの後やおむつ交換の後、食事の前や調理の前には、石鹸と流水で丁寧に手を洗うことが極めて重要です。爪の間や指のしわなども忘れずに洗いましょう。アルコール消毒も有効ですが、ロタウイルスに対しては次亜塩素酸ナトリウムの方がより効果的とされています。次に、汚染された物や環境からの感染です。ロタウイルスは環境中でも比較的長く生存できるため、感染者が触れたドアノブ、手すり、おもちゃ、タオル、食器などにウイルスが付着し、それを他の人が触れることで感染が広がることがあります。これらの共有物は、こまめに消毒することが推奨されます。消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を薄めたもの)や、アルコール(濃度70%以上が望ましい)などが有効です。また、飛沫感染の可能性も考慮する必要があります。感染者の咳やくしゃみ、嘔吐の際に飛び散る飛沫の中にウイルスが含まれており、それを吸い込むことで感染することがあります。感染者がいる場合は、マスクの着用を心がけ、換気を十分に行うことも大切です。特に、家庭内や保育園、幼稚園などの集団生活の場では、これらの感染経路が複合的に関与し、感染が広がりやすくなります。一人が感染すると、あっという間に周囲に広がってしまう可能性があるため、日頃からの予防意識と、感染者が出た場合の迅速かつ適切な対応が求められます。