骨粗鬆症は、自覚症状が乏しいため、検査によって骨の状態を評価し、早期に診断を受けることが非常に重要です。医療機関では、どのような検査が行われ、どのように骨粗鬆症と診断されるのでしょうか。まず、骨粗鬆症の診断において最も基本的な検査が、骨密度測定(こつみつどそくてい)です。骨密度とは、骨の単位面積あたりの骨量のことで、骨の強さを示す重要な指標となります。骨密度測定にはいくつかの方法がありますが、現在、最も精度が高いとされているのがDXA(デキサ)法(二重エネルギーX線吸収測定法)です。DXA法では、主に腰椎(腰の骨)や大腿骨近位部(太ももの付け根の骨)の骨密度を測定します。測定値は、若い人の平均骨密度(YAM:Young Adult Mean)と比較して、何パーセントであるかで評価され、YAM値が70%未満の場合に骨粗鬆症と診断されます。その他、かかとの骨や手首の骨で測定する超音波法やMD法といった簡易的な骨密度測定法もありますが、これらは主にスクリーニング検査として用いられます。骨密度測定と並行して、レントゲン(X線)検査も行われることがあります。レントゲン検査では、骨折の有無(特に脊椎の圧迫骨折など)や、骨の変形、骨粗鬆化の程度などを視覚的に評価します。また、血液検査や尿検査も、骨粗鬆症の診断や原因検索、治療効果の判定に役立ちます。これらの検査では、骨代謝マーカーと呼ばれる物質(骨形成マーカーや骨吸収マーカー)の値を測定することで、骨の新陳代謝のバランスがどのようになっているかを評価します。さらに、カルシウムやリン、ビタミンDなどの濃度を調べることで、骨の健康に必要な栄養素が不足していないかを確認したり、他の病気が原因で骨粗鬆症が起こっていないかを調べたりします。これらの検査結果を総合的に判断し、医師は骨粗鬆症の診断を下し、個々の患者さんに合った治療方針を決定します。