ロタウイルス感染症は、乳幼児を中心に急性の胃腸炎を引き起こす代表的なウイルス性疾患です。激しい嘔吐や下痢、発熱といった症状が現れ、特に小さな子どもにとっては脱水症状を起こしやすく、注意が必要な病気です。では、このロタウイルス感染症は、一体何が原因で、どのようにして感染するのでしょうか。ロタウイルス感染症の原因となるのは、その名の通り「ロタウイルス」というウイルスです。ロタウイルスには複数の血清型が存在し、一度感染しても異なる型のウイルスに再度感染することがあります。ただし、初回の感染が最も症状が重く、再感染するごとに症状は軽くなる傾向があると言われています。ロタウイルスの主な感染経路は、「糞口感染(ふんこうかんせん)」です。これは、感染者の便や嘔吐物の中に含まれる大量のウイルスが、何らかの形で手や指に付着し、その手で口に触れたり、汚染された物を口に入れたりすることで感染する経路です。特に、おむつ交換の後や、トイレの後、食事の前などに手洗いが不十分だと、感染のリスクが高まります。ウイルスは非常に感染力が強く、ごく微量(10~100個程度)でも感染が成立すると言われています。また、ロタウイルスは環境中でも比較的安定しており、ドアノブやおもちゃ、タオルといった物の表面に付着したウイルスが、数日間生存することもあります。そのため、家庭内や保育園、幼稚園といった集団生活の場では、一人が感染すると急速に感染が広がりやすいという特徴があります。その他、稀ではありますが、ウイルスに汚染された水や食べ物を介して感染する「経口感染」の可能性も指摘されています。しかし、主な感染経路はやはり人から人への糞口感染です。感染予防のためには、徹底した手洗いと、適切な消毒が非常に重要となります。