ロタウイルスとノロウイルスは、どちらも感染性胃腸炎を引き起こす代表的なウイルスですが、その特徴や食べ物との関わり方にはいくつかの違いがあります。これらの違いを理解しておくことは、適切な予防策を講じる上で役立ちます。まず、主な感染対象ですが、ロタウイルスは主に乳幼児に多く見られるのに対し、ノロウイルスは乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で感染します。次に、流行時期です。ロタウイルスは主に冬から春にかけて流行のピークを迎えることが多いのに対し、ノロウイルスは一年を通して発生しますが、特に冬場に多く見られる傾向があります。そして、食べ物との関わり方についてです。ロタウイルスの主な感染経路は糞口感染であり、人から人への直接的・間接的な接触が中心です。食べ物を介した感染も可能性としてはありますが、ノロウイルスほど顕著ではありません。一方、ノロウイルスは、食品からの感染が大きな問題となることがあります。特に、カキなどの二枚貝を生や加熱不十分な状態で食べることによる食中毒は、ノロウイルス感染の代表的な原因の一つです。これは、二枚貝が海水中のウイルスを体内に蓄積しやすいためです。また、ノロウイルスに感染した人が調理に携わり、その人の手指を介して食品が汚染され、それを食べた人が感染するというケースも多く報告されています。ノロウイルスは、ロタウイルス以上に感染力が非常に強く、ごく少量のウイルスでも発症すると言われています。また、乾燥や熱にも比較的強いため、食品の取り扱いや調理環境の衛生管理には細心の注意が必要です。予防策としては、どちらのウイルスも手洗いの徹底が基本ですが、ノロウイルスに関しては、食品の十分な加熱(中心部85~90℃で90秒以上)や、調理器具の消毒などが特に重要となります。