家庭内で一人がロタウイルス感染症にかかると、その強力な感染力から、他の家族にも感染が広がりやすい傾向があります。食べ物からの感染リスクもゼロではありませんが、それ以上に日常生活における接触や環境からの感染を防ぐための対策が重要となります。家族をロタウイルスから守るために、食べ物以外で特に注意すべき点をいくつかご紹介します。まず、最も重要なのは手洗いの徹底です。感染者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれており、これらが手指に付着し、口に入ることで感染します。トイレの後、おむつ交換の後、食事の準備前、食事の前など、こまめに石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。特に、感染者の看病をしている方は、より一層の注意が必要です。アルコール消毒も一定の効果はありますが、ロタウイルスに対しては次亜塩素酸ナトリウムの方が効果的とされています。次に、便や嘔吐物の適切な処理です。感染者の便や嘔吐物を処理する際は、使い捨ての手袋とマスクを着用し、直接触れないように注意します。処理後は、汚染された場所を次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を薄めたもの)で消毒し、使用した手袋やマスクはビニール袋に入れて密閉して捨てましょう。汚れた衣類やリネン類は、他の洗濯物とは分けて、次亜塩素酸ナトリウムで消毒してから洗濯するか、85℃以上の熱湯で1分以上消毒してから洗濯すると効果的です。また、タオルや食器の共用を避けることも大切です。感染者が使用したタオルや食器は、他の家族とは別にし、こまめに洗浄・消毒しましょう。ドアノブ、手すり、トイレのレバー、おもちゃなど、よく手が触れる場所も定期的に消毒します。換気を十分に行い、室内の空気を入れ替えることも感染予防に役立ちます。そして、感染者は、症状が治まるまで、できるだけ他の家族との密な接触を避け、安静に過ごすようにしましょう。これらの対策を家族全員で徹底することが、家庭内感染を防ぐための鍵となります。