朝、起き抜けに感じるめまいが、検査をしても特に内耳や脳に異常が見つからない場合、その背景にはストレスや不眠といった精神的な要因が関わっている可能性があります。このような場合、心療内科や精神科への相談も、症状改善の一つの糸口となるかもしれません。私たちの体と心は密接につながっており、精神的なストレスは自律神経のバランスを乱し、様々な身体症状を引き起こすことがあります。めまいもその一つです。自律神経は、血圧や心拍数、平衡感覚などをコントロールしているため、その働きが乱れると、フワフワとした浮動性のめまいや、気が遠くなるような感じ、あるいは漠然とした不安感を伴うめまいなどが現れることがあります。特に、起床時は、自律神経が睡眠モードから活動モードへと切り替わるタイミングであり、元々自律神経のバランスが不安定な方は、この切り替えがうまくいかず、めまいを感じやすいと言われています。また、不眠もめまいの大きな原因となり得ます。睡眠不足は、自律神経の乱れを助長し、脳の機能も低下させるため、めまいや頭痛、集中力の低下などを引き起こしやすくなります。夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、熟睡感がないといった睡眠の悩みを抱えている方は注意が必要です。さらに、不安障害やうつ病といった精神疾患の症状の一つとして、めまいが現れることもあります。常に不安感が強い、気分が落ち込んでいる、何事にも興味が持てないといった精神的な症状とともに、めまいや頭痛、動悸、息苦しさといった身体症状が伴う場合は、これらの疾患の可能性も考慮する必要があります。心療内科や精神科では、カウンセリングや薬物療法(抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤など)を通じて、ストレスの軽減や睡眠の改善、精神的な安定を図り、結果としてめまいの症状を和らげていくことを目指します。