子供がかかとの痛みを訴える場合、成長期特有の疾患である「シーバー病(踵骨骨端症)」を思い浮かべる方も多いかもしれません。シーバー病は、かかとの骨の成長軟骨部分に炎症が起こる病気で、主に8歳から12歳くらいの活発な男の子に多く見られます。痛む場所は、かかとの骨の後ろ側からやや下側、アキレス腱が付着する部分の少し手前あたりです。運動時や運動後に痛みが出やすく、かかとを押すと痛がります。では、子供がかかとの「後ろ側」に痛みを感じる場合、それはシーバー病なのでしょうか、それとも大人と同じようなアキレス腱炎や滑液包炎の可能性があるのでしょうか。結論から言うと、子供でもアキレス腱炎やアキレス腱滑液包炎を発症することはあります。特に、スポーツを活発に行っている子供の場合、大人と同様にオーバーユース(使いすぎ)や不適切なトレーニング、足に合わない靴などが原因で、アキレス腱やその周囲の組織に炎症が起こることがあります。ハグルンド病のような骨の変形が原因となることも、稀ですが考えられます。シーバー病との見分け方としては、痛む場所が微妙に異なる点が挙げられます。シーバー病はかかとの骨の端(骨端核)の炎症であるため、アキレス腱付着部よりもやや下方に圧痛点があることが多いのに対し、アキレス腱炎はアキレス腱そのもの、滑液包炎はアキレス腱とかかとの骨の間やアキレス腱と皮膚の間に痛みや腫れが出やすい傾向があります。しかし、これらの鑑別は専門家でなければ難しく、症状もオーバーラップすることがあります。また、子供の場合は、骨折やその他の疾患の可能性も考慮する必要があります。したがって、子供がかかとの後ろの痛みを訴える場合は、自己判断せずに、まずは整形外科を受診し、正確な診断を受けることが最も重要です。医師は、年齢や症状、レントゲン検査などを総合的に判断し、適切な治療法を提案してくれます。
子供のかかとの後ろが痛いシーバー病とは違う?