手首や指の痛みで腱鞘炎が疑われるけれど、整形外科と整骨院（接骨院）、どちらに行けば良いのか迷う方もいるでしょう。それぞれの役割と特徴を理解し、自分の症状や目的に合った受診先を選ぶことが大切です。まず、整形外科は、医師が診断と治療を行う医療機関です。骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経といった運動器系の疾患や外傷を専門とし、腱鞘炎の診断においては、問診や診察、そして必要に応じてレントゲン検査や超音波検査、MRI検査といった画像検査などを用いて、原因を特定します。治療法としては、薬物療法（消炎鎮痛剤の処方など）、注射療法（ステロイド注射など）、装具療法（サポーターなど）、リハビリテーション（運動療法や物理療法）、そして場合によっては手術療法といった、医学的な根拠に基づいた幅広い選択肢があります。診断書の発行や、労災保険・自賠責保険の取り扱いも可能です。一方、整骨院（接骨院）は、柔道整復師という国家資格を持つ施術者が、主に骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷といった急性のケガ（外傷性のもの）に対して、整復、固定、後療法（手技療法、物理療法、運動療法など）といった施術を行う場所です。慢性的な肩こりや腰痛、あるいは腱鞘炎のような炎症性の疾患に対する診断や、薬の処方、注射、手術といった医療行為は行うことができません。ただし、腱鞘炎の症状緩和を目的とした手技療法や物理療法、テーピングなどを行っている整骨院もあります。どちらを受診するか迷う場合は、まず、正確な診断を受けたい、あるいは薬や注射、手術といった医療的な治療を希望する場合は、整形外科を受診するのが適切です。特に、痛みが強い、症状が長引いている、原因がはっきりしないといった場合は、整形外科で原因を特定してもらうことが重要です。整骨院は、医師の診断のもとで、リハビリテーションの一環として利用したり、慢性的な筋肉の疲労やこりの緩和を目的としたりする場合に選択肢となるでしょう。両者の役割を理解し、必要に応じて連携を取りながら治療を進めていくことも考えられます。