もし、ご自身やお子さん、あるいは身近な人の顔つきを見て、「もしかしたら胎児性アルコール症候群(FAS)の顔貌的特徴に当てはまるかもしれない」と気になった場合、どこに相談すれば良いのでしょうか。不安を抱えたままにせず、専門家の意見を聞くことが大切です。まず、子どもの場合、かかりつけの小児科医に相談するのが第一歩です。小児科医は、子どもの成長発達全般を診ており、顔貌的特徴だけでなく、身長や体重の伸び、発達の遅れなど、他のFASの兆候についても評価してくれます。必要であれば、より専門的な医療機関(例えば、遺伝科、小児神経科、発達外来など)を紹介してくれるでしょう。遺伝科では、FASを含む様々な先天性疾患の診断や遺伝カウンセリングを行っています。大人の場合で、自分自身の顔貌的特徴や、子どもの頃からの発達の遅れ、学習面や行動面での困難さが気になる場合は、精神科や心療内科、あるいは発達障害を専門とするクリニックなどが相談先となります。これらの医療機関では、問診や心理検査などを通じて、FASや胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)の可能性について評価してくれます。ただし、FAS/FASDの診断は非常に専門的であり、全ての医療機関で対応できるわけではありません。受診する前に、電話などでFAS/FASDに関する相談が可能かどうかを確認しておくと良いでしょう。また、地域によっては、発達障害者支援センターや保健センター、精神保健福祉センターといった公的な相談窓口で、FAS/FASDに関する情報提供や相談支援を行っている場合があります。これらの機関では、医療機関の紹介や、福祉サービスの利用に関するアドバイスなども受けることができます。重要なのは、顔貌的特徴だけで自己判断したり、過度に心配したりするのではなく、専門家の客観的な評価を受けることです。そして、診断の有無に関わらず、本人が抱える困難さに対して、適切な支援や理解が得られるようにすることが何よりも大切です。