関節リウマチの治療目標は、単に痛みを和らげるだけでなく、病気の活動性をできるだけ低く抑え、関節破壊の進行を防ぎ、最終的には患者さんのQOL(生活の質)を最大限に高めることです。この目標を達成するために、現代のリウマチ治療では、「寛解(かんかい)」または「低疾患活動性(ていしっかんかつどうせい)」を目指すという考え方が主流となっています。まず、「寛解」とは、病気の活動性がほとんどなくなり、関節の腫れや痛みが消失し、血液検査での炎症反応も正常化し、画像検査でも関節破壊の進行が見られない状態を指します。つまり、病気がほぼ治まったような状態と言えます。寛解を達成し、それを長期間維持することが、リウマチ治療の最大の目標です。寛解に至れば、薬の量を減らしたり、場合によっては中止したりすることも検討できるようになります(ただし、自己判断での中止は絶対に避け、必ず医師の指示に従ってください)。次に、「低疾患活動性」とは、寛解には至らないものの、病気の活動性が十分に低くコントロールされており、日常生活に大きな支障がない状態を指します。全ての患者さんが寛解を達成できるわけではありませんが、低疾患活動性を維持することでも、関節破壊の進行を抑制し、良好なQOLを保つことが期待できます。これらの治療目標を達成するために、医師は定期的に患者さんの病状を評価します。具体的には、腫れている関節の数、痛む関節の数、患者さん自身による全般評価、医師による全般評価、そして血液検査での炎症反応(CRPや赤沈など)といった項目を組み合わせて、DAS28(Disease Activity Score 28)やSDAI(Simplified Disease Activity Index)、CDAI(Clinical Disease Activity Index)といった疾患活動性評価指標を用いて、客観的に病気の勢いを評価します。そして、これらの評価に基づいて、治療薬の種類や量を調整し、できるだけ早く寛解または低疾患活動性を目指す「Treat to Target(T2T:目標達成に向けた治療)」という戦略が取られています。
リウマチ治療の目標寛解と低疾患活動性