散歩中の犬や、よその家の犬、あるいは自分の飼い犬に予期せず噛まれてしまった…。そんな時、パニックにならずに冷静に対処することが大切ですが、同時に「どこの病院の何科に行けばいいのだろう?」と迷う方も多いでしょう。犬に噛まれた場合にまず受診を検討すべき診療科は、外科または整形外科です。これらの科では、傷の深さや大きさ、汚染の程度などを評価し、適切な洗浄や消毒、場合によっては縫合処置、そして破傷風トキソイドの注射(予防接種の状況による)などを行います。特に、傷が深い、出血が多い、あるいは神経や腱、骨にまで達している可能性がある場合は、専門的な処置が必要となるため、これらの科の受診が推奨されます。また、皮膚科も選択肢の一つです。傷が比較的浅く、皮膚表面の損傷が主な場合は、皮膚科でも対応可能なことがあります。皮膚科では、傷の処置に加え、感染予防のための抗菌薬の処方や、傷跡が残りにくくするためのアドバイスなども受けられます。もし、噛まれたのが顔や首など、美容的な側面も気になる部位であれば、形成外科を受診するのも良いでしょう。形成外科医は、傷をきれいに治すことを専門としており、機能面だけでなく整容面も考慮した治療を行ってくれます。かかりつけの内科医にまず相談し、状況に応じて適切な専門科を紹介してもらうという方法も考えられます。特に、発熱や全身倦怠感など、全身症状が現れている場合は、感染症が進行している可能性もあるため、内科的な視点からの診察も重要になります。重要なのは、犬に噛まれた傷は、見た目以上に深かったり、細菌感染のリスクが高かったりするため、自己判断で放置しないことです。特に、野良犬や、予防接種の状況が不明な犬に噛まれた場合は、狂犬病などの感染症のリスクも考慮しなければなりません(日本では狂犬病の発生は稀ですが)。傷の大小に関わらず、まずは医療機関を受診し、医師の指示を仰ぐようにしましょう。