浮腫(むくみ)が慢性化したり、悪化したりすると、皮膚に様々なトラブルが現れやすくなります。単に水分が溜まっているだけでなく、皮膚そのものの健康状態にも影響が及ぶのです。どのような皮膚トラブルが起こりうるのか、具体的に見ていきましょう。まず、皮膚の乾燥とかゆみです。浮腫によって皮膚が常に引き伸ばされた状態が続くと、皮膚の表面にある角質層のバリア機能が低下します。バリア機能が弱まると、皮膚の水分が蒸発しやすくなり、乾燥が進みます。乾燥した皮膚は外部からの刺激に敏感になり、かゆみを引き起こしやすくなります。次に、湿疹や皮膚炎です。バリア機能が低下した皮膚は、わずかな刺激やアレルゲンにも反応しやすくなり、赤みやブツブツ、じゅくじくとした湿疹、あるいは接触皮膚炎などを起こしやすくなります。また、浮腫によって皮膚の血行が悪くなると、皮膚に必要な酸素や栄養素が行き渡りにくくなり、皮膚の新陳代謝も滞りがちになります。その結果、皮膚の色素沈着(シミやくすみ、黒ずみ)が起こりやすくなったり、皮膚が硬く厚くなったり(線維化)、逆に皮膚が薄く弱くなったりすることがあります。特に、下肢静脈瘤などで慢性的なうっ血状態が続くと、皮膚が茶褐色に変色し、硬くなる「うっ滞性皮膚炎」を発症することがあります。さらに、皮膚の抵抗力が低下するため、細菌や真菌(カビ)などによる感染症を起こしやすくなります。例えば、ちょっとした傷や虫刺されから細菌が侵入し、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の深い部分の感染症を引き起こすことがあります。また、水虫(足白癬)などの真菌感染症も、むくんだ足では治りにくく、悪化しやすい傾向があります。最も深刻な皮膚トラブルの一つが、皮膚潰瘍です。慢性的な浮腫や血行障害が進行すると、皮膚の組織が壊死し、治りにくい潰瘍(皮膚がえぐれた状態)を形成してしまうことがあります。これは、特に下肢静脈瘤や深部静脈血栓症後遺症、重度のリンパ浮腫などに見られます。このように、浮腫の悪化は様々な皮膚トラブルのリスクを高めます。
浮腫が悪化すると皮膚はどうなる?トラブル続出