大人が溶連菌感染症にかかると、強い喉の痛みが主な症状として現れることが多いですが、それ以外にも様々な症状が現れる可能性があり、注意が必要です。喉の痛み以外の症状に気づくことが、早期発見や合併症の予防に繋がることもあります。まず、発熱は多くのケースで見られます。三十八度以上の高熱が突然現れることが多く、悪寒や震えを伴うこともあります。頭痛や関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった、いわゆる「風邪様症状」も同時に現れることが少なくありません。これらの症状は、インフルエンザと間違われることもあります。次に、皮膚症状です。顔や首、胸、脇の下、股などから、細かく赤い点状の発疹(猩紅熱様発疹)が全身に広がることがあります。この発疹は、触るとザラザラとした感触があり、かゆみを伴うこともあります。発疹が消えた後、数週間してから手足の指先の皮膚が薄く剥けてくる(落屑)のも特徴的な所見の一つです。ただし、大人の場合は、子どもに比べてこの皮膚症状は典型的でなかったり、出にくかったりするとも言われています。口腔内の所見としては、舌の表面がイチゴのように赤くブツブツとした状態になる「イチゴ舌」が見られることがあります。これも溶連菌感染症に特徴的なサインですが、必ずしも全ての患者さんに出現するわけではありません。また、首のリンパ節が腫れて痛むこともあります。その他、腹痛や吐き気、嘔吐といった消化器症状が現れることもあります。これらの症状は、個人差が大きく、全ての症状が揃うわけではありません。しかし、強い喉の痛みとともに、これらの症状が一つでも見られる場合は、溶連菌感染症の可能性を考え、早めに医療機関を受診することが重要です。適切な診断と治療を受けることで、症状の早期改善と、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった重篤な合併症の予防に繋がります。