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犬に噛まれた傷放置するとどうなる?
犬に噛まれた傷を、「大したことないだろう」と自己判断で放置してしまうと、様々なリスクが生じる可能性があります。犬の口の中には、人間にとっては病原性のある多くの細菌が存在しており、噛まれた傷からこれらの細菌が侵入し、感染症を引き起こすことが多いのです。まず、最も一般的なのが、傷口の化膿です。噛まれた部分が赤く腫れ上がり、ズキズキとした痛みや熱感を伴い、膿が出るようになります。これは、細菌が傷口で増殖し、炎症を起こしているサインです。この局所的な感染が進行すると、リンパ管を通って炎症が広がる「リンパ管炎」や、リンパ節が腫れて痛む「リンパ節炎」を引き起こすことがあります。さらに重症化すると、皮膚の深い部分にまで感染が及ぶ「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」や、筋肉や骨にまで感染が広がる「骨髄炎」といった深刻な状態に至る可能性もあります。これらの場合、発熱や悪寒、全身倦怠感といった全身症状が現れ、入院して点滴による抗菌薬治療や、場合によっては手術が必要になることもあります。また、犬の咬傷で特に注意が必要な感染症に「破傷風」があります。破傷風菌は、土壌中などに広く存在する細菌で、傷口から体内に侵入し、神経を侵す毒素を産生します。初期には口が開きにくい、首筋が張るといった症状が現れ、進行すると全身の筋肉のけいれんや呼吸困難を引き起こし、命に関わることもある非常に危険な病気です。破傷風の予防には、ワクチン接種が有効ですが、最終接種から時間が経っている場合などは、追加接種が必要になることがあります。さらに、海外では狂犬病のリスクも考慮しなければなりません。日本では長年発生していませんが、海外で犬に噛まれた場合は、狂犬病予防のワクチン接種が必要となることがあります。このように、犬に噛まれた傷を放置することには、様々な感染症のリスクが伴います。傷の大小に関わらず、必ず医療機関を受診し、適切な処置と感染予防策を講じることが大切です。