病院ナビ

犬に噛まれてしまった場合、パニックにならずに、まずは落ち着いて応急処置を行うことが大切です。そして、その後速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。応急処置としてまず行うべきは、傷口の洗浄です。水道の流水で、傷口とその周辺を石鹸などを使って十分に洗い流します。傷口に付着した犬の唾液や汚れ、細菌などをできるだけ洗い流すことが、感染予防の第一歩となります。この時、傷口を強くこすりすぎないように注意しましょう。次に出血がある場合は、清潔なガーゼやハンカチ、タオルなどで傷口を直接圧迫して止血します。多少の出血であれば、通常は数分間の圧迫で止まります。止血が確認できたら、清潔なガーゼや絆創膏などで傷口を保護します。ただし、これはあくまで医療機関を受診するまでの応急処置です。医療機関（外科、整形外科、皮膚科など）では、まず医師が傷の状態を詳しく診察します。傷の深さ、大きさ、汚染の程度、周囲の組織の損傷具合などを評価します。そして、改めて傷口の洗浄と消毒が行われます。必要に応じて、傷口に残っている異物（犬の歯の破片など）を取り除いたり、壊死した組織を切除したりすることもあります。傷が深い場合や、汚染がひどい場合は、感染のリスクを減らすために、あえてすぐに縫合せず、開放創として管理することもあります。縫合が必要な場合は、局所麻酔をして傷を縫い合わせます。そして、感染予防のために、抗菌薬（抗生物質）の内服薬や塗り薬が処方されます。また、破傷風の予防も重要です。患者さんのワクチン接種歴を確認し、必要であれば破傷風トキソイドの追加接種や、抗破傷風人免疫グロブリンの投与が行われます。治療後は、医師の指示に従い、定期的に通院して傷の状態をチェックしてもらい、適切な処置を受けることが大切です。