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掻かないで!りんご病のかゆみと二次感染
りんご病の発疹に伴うかゆみは、我慢するのが難しく、特にお子さんの場合は無意識のうちに掻きむしってしまうことがあります。しかし、掻き壊してしまうと、様々なトラブルを引き起こす可能性があるため、できるだけ掻かないように注意することが重要です。掻き壊しによって起こりうる最も大きな問題の一つが、二次的な細菌感染です。私たちの皮膚には、普段から様々な常在菌が存在していますが、皮膚のバリア機能が正常であれば、これらの菌が問題を起こすことはありません。しかし、掻き壊して皮膚に傷ができてしまうと、そこから黄色ブドウ球菌やレンサ球菌といった細菌が侵入しやすくなり、感染症を引き起こすことがあります。代表的なものに、「とびひ(伝染性膿痂疹)」があります。とびひは、水ぶくれやじゅくじゅくとしたびらんができ、それが周囲に広がっていくのが特徴で、強いかゆみを伴います。また、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といって、皮膚の深い部分に細菌が感染し、赤みや腫れ、熱感、強い痛みを引き起こすこともあります。これらの細菌感染症を合併すると、りんご病自体の治癒が遅れるだけでなく、抗菌薬による治療が必要になったり、場合によっては発熱などの全身症状が現れたりすることもあります。さらに、掻き壊しは、治った後に痕(あと)が残りやすくなる原因にもなります。特に、顔や目立つ部分に発疹が出ている場合は、できるだけきれいに治したいものです。強く掻きむしって皮膚の深い部分まで傷つけてしまうと、色素沈着(シミのようなもの)や、ケロイド状の盛り上がった痕、あるいは凹んだクレーターのような痕が残ってしまう可能性があります。これらの二次感染や瘢痕化を防ぐためには、とにかく「掻かないこと」が大切です。爪を短く切る、患部を冷やす、適切な衣類を選ぶ、医師から処方されたかゆみ止めを使用するといった対策を徹底し、できる限り掻き壊さないように心がけましょう。もし、掻き壊してしまったり、赤みや腫れ、膿が出るなど感染が疑われる症状が見られたりした場合は、速やかに医師の診察を受けてください。