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顎関節症が原因?耳の下の痛みと口の開けにくさ
耳の下の痛みとともに、口を開けたり閉じたりする時に顎が痛い、カクカクと音がする、口が大きく開けられないといった症状がある場合、それは「顎関節症(がくかんせつしょう)」の可能性があります。顎関節症は、顎の関節やその周りの筋肉(咀嚼筋)に何らかの異常が生じることで起こる病気の総称で、日本人の二人に一人が生涯に一度は経験するとも言われています。顎関節は耳のすぐ前下あたりに位置しているため、顎関節に炎症が起きたり、周囲の筋肉が緊張したりすると、その痛みが耳の下やこめかみ、側頭部などに放散することがあります。そのため、耳の病気だと思って耳鼻咽喉科を受診しても異常が見つからず、実は顎関節症だったというケースも少なくありません。顎関節症の主な原因としては、噛み合わせの異常、歯ぎしりや食いしばりの癖、ストレス、頬杖をつくなどの不良姿勢、片側だけで物を噛む癖、硬いものをよく食べることなどが挙げられます。これらの要因が複合的に絡み合い、顎関節や咀嚼筋に過度な負担がかかることで発症すると考えられています。症状としては、前述の顎の痛みや開口障害、関節音の他に、頭痛、肩こり、首のこり、耳鳴り、めまいといった全身的な症状が現れることもあります。もし、顎関節症が疑われる場合は、歯科または口腔外科を受診するのが適切です。歯科医師や口腔外科医は、問診や触診、レントゲン検査、場合によってはMRI検査などを行い、顎関節の状態を評価します。治療としては、まず保存療法が中心となります。スプリント療法(マウスピースのようなものを装着して顎関節への負担を軽減する)、薬物療法(消炎鎮痛剤や筋弛緩薬など)、理学療法(マッサージやストレッチ、温熱療法など)、そして生活習慣の改善指導(硬いものを避ける、歯ぎしりや食いしばりを意識してやめるなど)が行われます。多くの場合、これらの保存的治療で症状は改善しますが、重症例では外科的治療が検討されることもあります。