関節リウマチの薬物治療において、現在、最も中心的かつ標準的な薬剤として位置づけられているのが「メトトレキサート(MTX)」です。MTXは、抗リウマチ薬(DMARDs:Disease Modifying Anti-Rheumatic Drugs)の一種で、免疫の異常な働きを調整し、関節の炎症や破壊の進行を抑える効果があります。その高い有効性と比較的良好な忍容性(副作用の許容範囲)から、関節リウマチと診断された多くの患者さんに第一選択薬として用いられています。MTXは、もともと抗がん剤として開発された薬剤ですが、リウマチ治療に用いられる量は、がん治療に用いられる量よりもはるかに少なく、作用機序も異なると考えられています。リウマチ治療におけるMTXの主な作用としては、葉酸代謝を阻害することで、炎症に関わる細胞の増殖を抑えたり、炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質)の産生を抑制したりすることが挙げられます。MTXは、通常、週に一回、決められた曜日に内服します。毎日の服用ではないため、飲み忘れや過量投与に注意が必要です。効果が現れるまでには、通常、服用開始から一ヶ月から三ヶ月程度かかると言われています。そのため、効果がないからといって自己判断で中断せず、医師の指示に従って継続することが重要です。MTXの主な副作用としては、吐き気や食欲不振、口内炎といった消化器症状、肝機能障害、骨髄抑制(白血球や血小板の減少など)、間質性肺炎などが報告されています。これらの副作用を予防・軽減するために、MTX服用翌日または翌々日に葉酸製剤を服用することが一般的です。また、副作用の早期発見のために、定期的な血液検査や尿検査、胸部レントゲン検査などが行われます。もし、発熱や咳、息切れ、皮疹、強い倦怠感といった気になる症状が現れた場合は、速やかに医師に相談するようにしましょう。MTXは、リウマチ治療において非常に重要な薬剤ですが、その効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、医師の指示をよく守り、定期的な検査と診察を受けることが不可欠です。
リウマチ治療の中心メトトレキサート(MTX)とは