足の皮膚に茶色い変色やかゆみ、湿疹などが現れるうっ滞性皮膚炎。この病気が疑われる場合、皮膚科と循環器内科(あるいは血管外科)、どちらを受診すれば良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と、症状に応じた受診先の選び方について解説します。まず、皮膚科は、皮膚そのものに現れている症状(湿疹、かゆみ、乾燥、色素沈着、潰瘍など)の診断と治療を専門とする診療科です。うっ滞性皮膚炎によって引き起こされる皮膚の炎症を抑えるためのステロイド外用薬の処方や、かゆみを和らげるための抗ヒスタミン薬の内服、乾燥を防ぐための保湿剤の処方、そして皮膚を清潔に保つためのスキンケア指導などを行います。皮膚症状が主な悩みである場合や、まずは皮膚の状態を正確に診てもらいたいという場合は、皮膚科を受診するのが良いでしょう。一方、循環器内科は、心臓や血管の病気を専門とし、うっ滞性皮膚炎の根本的な原因である足の静脈の血流障害(うっ滞)の評価と治療に関わります。特に、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症後遺症などが背景にある場合、循環器内科(または血管外科)での専門的な検査(超音波ドップラー検査など)や治療が必要となります。治療としては、弾性ストッキングの着用指導や、生活習慣の改善指導、場合によっては硬化療法やレーザー治療、手術といった静脈疾患そのものに対する治療が行われます。血管外科は、これらの静脈疾患に対する外科的治療をより専門的に行います。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、症状の状況を考えてみましょう。皮膚の赤みや湿疹、かゆみが強く、まずは皮膚症状を何とかしたいという場合は皮膚科。足のむくみがひどい、血管が浮き出て見える、あるいは以前に深部静脈血栓症を起こしたことがあるといった場合は、循環器内科や血管外科への相談を優先すると良いかもしれません。理想的には、皮膚科と循環器内科・血管外科が連携して治療にあたることが、うっ滞性皮膚炎の根本的な改善と皮膚症状のコントロールの両立に繋がります。