足の浮腫(むくみ)を長期間放置し、適切なケアや治療を行わずにいると、最悪の場合、皮膚に治りにくい潰瘍(かいよう)ができたり、組織が死んでしまう壊疽(えそ)に至ったりする可能性があります。これは、浮腫が単なる水分貯留の問題ではなく、血行障害や組織の栄養状態の悪化を伴うことがあるためです。特に、閉塞性動脈硬化症や重度の糖尿病、コントロール不良の下肢静脈瘤、進行したリンパ浮腫などが背景にある場合は、このような深刻な事態に至るリスクが高まります。皮膚潰瘍とは、皮膚や皮下組織が欠損し、えぐれた状態になることを指します。慢性的な浮腫によって皮膚の血行が悪くなると、皮膚細胞に必要な酸素や栄養素が十分に行き渡らなくなり、皮膚の抵抗力が低下します。その結果、わずかな傷や圧迫、摩擦などでも皮膚が損傷しやすく、また、一度できた傷が治りにくくなり、徐々に潰瘍へと進行してしまうのです。特に、足首の内側や、すね、足の甲などは、血流が悪くなりやすく、潰瘍ができやすい部位とされています。潰瘍ができると、強い痛みを伴ったり、浸出液が出たり、細菌感染を起こして悪臭を放ったりすることもあります。治療には長期間を要し、専門的な創傷ケアや、場合によっては手術が必要になることもあります。さらに深刻な状態が、壊疽です。これは、血流が極端に悪化し、組織に酸素や栄養が全く供給されなくなることで、組織が死んでしまう状態を指します。壊疽した部分は黒く変色し、乾燥したり、湿って腐敗したりします。壊疽は、感染症を併発しやすく、敗血症などの全身性の重篤な合併症を引き起こす危険性があります。広範囲に壊疽が進行した場合は、救命のために足の切断を余儀なくされることもあります。このように、足の浮腫を放置することは、潰瘍や壊疽といった取り返しのつかない事態を招く可能性があります。たかがむくみと安易に考えず、原因を特定し、早期から適切な治療とケアを行うことが、足の健康を守るために非常に重要です。
足の潰瘍や壊疽も?浮腫の放置が招く最悪の事態