お風呂上がりや、なんとなく耳がムズムズする時に、つい毎日のように耳かきをしてしまうという方もいるかもしれません。しかし、この「毎日耳かき」という習慣は、耳の健康にとってはあまり良いことではありません。むしろ、外耳炎をはじめとする耳のトラブルを引き起こすリスクを高めてしまう可能性があります。外耳道(耳の穴から鼓膜までの道)の皮膚は、非常に薄くデリケートです。厚さはわずか0.1~0.2ミリ程度しかなく、顔の皮膚よりも薄いと言われています。この薄い皮膚を、耳かき棒や綿棒で毎日こすってしまうと、簡単に傷がつき、炎症を起こしてしまいます。これが「外耳炎」です。外耳炎になると、耳のかゆみ、痛み、耳だれ(耳から液体が出てくる)、耳閉感(耳が詰まった感じ)といった症状が現れます。ひどくなると、耳が腫れたり、聞こえが悪くなったりすることもあります。また、毎日耳かきをすることで、耳垢の自浄作用を妨げてしまう可能性もあります。耳垢は、本来自然に耳の外へと排出されるものですが、耳かきで奥に押し込んでしまったり、必要な耳垢まで取り除いてしまったりすると、この自浄作用がうまく働かなくなることがあります。その結果、かえって耳垢が溜まりやすくなったり、外耳道が乾燥してかゆみが出やすくなったりすることもあるのです。さらに、耳かきを深く入れすぎると、鼓膜を傷つけてしまう危険性もゼロではありません。鼓膜に穴が開いてしまうと(鼓膜穿孔)、痛みや出血、難聴などを引き起こし、場合によっては手術が必要になることもあります。このように、毎日の耳かきは、メリットよりもデメリットの方が多いと言えます。耳の健康を守るためには、耳かきの頻度を見直し、優しく、そして浅く行うことを心がけることが大切です。