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熱なしの痰がらみ咳考えられる原因疾患
熱はないのに、痰が絡む咳だけがしつこく続く…。このような症状の場合、どのような病気が原因として考えられるのでしょうか。いくつか代表的なものを挙げてみましょう。まず、最も一般的なのは「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」です。これは、風邪や気管支炎などの呼吸器感染症が治った後も、咳だけが数週間から数ヶ月程度続いてしまう状態です。気道の粘膜が過敏になっていることが原因と考えられています。痰がらみになることもあります。次に、「副鼻腔炎(蓄膿症)」や「後鼻漏(こうびろう)」です。副鼻腔に炎症が起こり、膿性の鼻水が溜まると、その鼻水が喉の方へ流れ落ちてきます(後鼻漏)。これが気道を刺激し、痰が絡んだような咳が出やすくなります。特に、朝起きた時や横になった時に咳が出やすいのが特徴です。「咳喘息(せきぜんそく)」も、熱のない長引く咳の原因として重要です。気管支喘息の前段階とも言われ、ゼーゼー・ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難はなく、咳だけが主な症状です。痰が絡むこともあり、夜間や早朝、あるいは特定の刺激(冷たい空気、タバコの煙、会話など)で咳が悪化する傾向があります。「アトピー咳嗽」も、アレルギー体質の人に起こりやすい咳で、喉のイガイガ感とともに乾いた咳が多いですが、痰が絡むこともあります。また、「慢性気管支炎」や「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」は、主に長年の喫煙が原因で、気道に慢性的な炎症が起こり、痰がらみの咳や息切れが続く病気です。「気管支拡張症」は、気管支が異常に拡張し、そこに痰が溜まりやすくなることで、慢性的な痰がらみの咳や感染を繰り返す病気です。その他、稀ではありますが、肺がんや肺結核、間質性肺炎といった病気の初期症状として、熱のない痰がらみの咳が現れることもあります。このように、熱のない痰がらみの咳の原因は多岐にわたるため、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定してもらうことが大切です。