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2025年10月
  • 胎児性アルコール症候群予防が最も重要

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    胎児性アルコール症候群(FAS)および胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)は、特徴的な顔貌や成長障害、そして生涯にわたる中枢神経系の障害を引き起こす可能性のある、深刻な先天性疾患群です。しかし、これらの疾患は、妊娠中の母親がアルコールを摂取しないことによって、100%予防することが可能です。つまり、FAS/FASDは「予防可能な先天性障害」なのです。妊娠中のアルコール摂取は、胎児の脳や体の様々な部分の発達に悪影響を及ぼします。アルコールは、胎盤を容易に通過し、胎児の血中アルコール濃度は母親とほぼ同じレベルになります。しかし、胎児は肝臓の機能が未熟なため、アルコールを分解する能力が低く、長時間にわたってアルコールの影響を受け続けることになります。特に、妊娠初期(妊娠2ヶ月から3ヶ月頃)は、胎児の脳や顔面、心臓といった重要な器官が形成される非常にデリケートな時期であり、この時期のアルコール摂取は、FASの典型的な顔貌的特徴や、より重篤な障害を引き起こすリスクが高いと言われています。しかし、妊娠中期や後期であっても、アルコール摂取は胎児の発育や脳機能に悪影響を与える可能性があるため、妊娠中のどの時期であってもアルコールは避けるべきです。また、「少量なら大丈夫だろう」「アルコール度数が低いものなら問題ない」といった考え方も危険です。胎児にとって安全なアルコールの量は確立されておらず、ごく少量のアルコールでも影響が出る可能性が指摘されています。したがって、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、そして妊娠中の女性は、アルコールを一切摂取しない「完全断酒」が最も確実な予防策となります。周囲の人々も、妊婦さんに対してアルコールを勧めたり、飲酒のプレッシャーを与えたりしないように配慮することが大切です。社会全体で、妊娠中のアルコール摂取のリスクについての正しい知識を共有し、FAS/FASDの予防に取り組むことが求められています。