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夏に多い胃腸炎、その原因と特徴とは?
夏といえば楽しいイベントが多い季節ですが、一方で体調を崩しやすい時期でもあります。特に、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛といった症状を伴う「胃腸炎」は、夏場に注意が必要な病気の一つです。では、なぜ夏に胃腸炎が多くなるのでしょうか。その原因と特徴を理解しておきましょう。夏の胃腸炎の主な原因は、細菌やウイルスによる感染です。高温多湿な環境は、細菌が増殖しやすいため、食べ物が傷みやすく、食中毒のリスクが高まります。代表的な原因菌としては、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、O-157などの病原性大腸菌などが挙げられます。これらの細菌は、加熱不十分な肉や魚介類、卵、あるいは調理器具や手指を介して食品に付着し、それを摂取することで感染します。症状としては、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などが現れ、原因菌によって潜伏期間や症状の強さが異なります。一方、ウイルス性の胃腸炎も夏場に見られます。ノロウイルスやロタウイルスは冬場に流行するイメージが強いですが、エンテロウイルスやアデノウイルスなど、夏に活動が活発になるウイルスも胃腸炎を引き起こすことがあります。これらのウイルスは、感染者の便や嘔吐物、あるいは汚染された水や食品を介して感染します。症状は、下痢、嘔吐、腹痛、発熱など、細菌性胃腸炎と似ていますが、比較的軽症で自然に治癒することが多いです。また、夏場は冷たいものの摂りすぎや、冷房による体の冷え、暑さによる疲労や睡眠不足などで、胃腸の機能が低下しやすくなります。胃腸が弱っていると、普段なら問題にならないような少量の細菌やウイルスにも感染しやすくなったり、あるいは食あたりとは異なる機能的な不調(例えば、下痢や便秘、胃もたれなど)を起こしやすくなったりします。このように、夏の胃腸炎は、食中毒菌やウイルス感染、そして夏特有の生活習慣が複合的に関与して発症すると考えられています。