病院ナビ

2025年10月
  • 逆流性食道炎も?胸やけと痰がらみ咳の関係

    未分類

    熱はないのに、痰が絡む咳が続き、さらに胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)といった症状もある場合、それは「逆流性食道炎」が原因かもしれません。逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流することで、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。主な症状は胸やけですが、それ以外にも様々な症状を引き起こすことがあり、長引く咳もその一つとして知られています。なぜ逆流性食道炎で咳や痰が出るのでしょうか。そのメカニズムとしては、いくつかの可能性が考えられています。一つは、逆流した胃酸が食道だけでなく、喉や気管の入り口まで達し、そこを直接刺激することで咳反射が起こるというものです。また、食道の粘膜が胃酸によって刺激されると、迷走神経という神経を介して、咳中枢が刺激され、咳が出やすくなるという間接的なメカニズムも指摘されています。さらに、逆流した胃の内容物が、少量であっても気管に誤嚥(ごえん)されることで、気道に炎症が起こり、咳や痰の原因となることもあります。逆流性食道炎による咳は、食後や横になった時、あるいは前かがみの姿勢になった時に悪化しやすい傾向があります。また、声がれや喉の違和感、飲み込みにくさといった症状を伴うこともあります。痰は、透明か白色の粘液性のことが多いですが、炎症の程度によっては黄色っぽくなることもあります。もし、熱のない痰がらみの咳とともに、胸やけや呑酸、胃もたれといった消化器症状がある場合は、逆流性食道炎の可能性を考え、消化器内科を受診することをお勧めします。消化器内科では、問診や内視鏡検査(胃カメラ)などを行い、診断を確定します。治療としては、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーなど)や、食道の運動機能を改善する薬などが用いられます。また、食生活の改善(脂っこいものや刺激物を避ける、食べ過ぎない、食後すぐに横にならないなど)や、生活習慣の見直し(禁煙、減量、寝る時に上半身を少し高くするなど)も重要です。