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2025年7月
  • 肝機能低下で蕁麻疹が出やすい?そのメカニズム

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    肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少機能が低下しても自覚症状が現れにくいことが多いですが、その不調のサインの一つとして、皮膚に「蕁麻疹」が現れることがあります。なぜ、肝機能が低下すると蕁麻疹が出やすくなるのでしょうか。そのメカニズムは複雑ですが、いくつかの要因が関わっていると考えられています。まず、ヒスタミンの分解能力の低下です。ヒスタミンは、アレルギー反応や炎症反応において中心的な役割を果たす化学伝達物質で、かゆみや血管拡張、血管透過性の亢進などを引き起こし、蕁麻疹の主な原因となります。肝臓は、このヒスタミンを分解する酵素(ヒスタミナーゼなど)を産生する役割も担っています。そのため、肝機能が低下すると、ヒスタミンの分解が滞り、体内にヒスタミンが蓄積しやすくなります。その結果、通常では反応しないようなわずかな刺激でも、ヒスタミンが過剰に作用し、蕁麻疹が出やすい状態になると考えられています。次に、免疫バランスの乱れです。肝臓は、免疫細胞が豊富に存在する臓器であり、免疫システムの調整にも関わっています。肝機能が低下すると、この免疫バランスが崩れ、アレルギー反応が起こりやすくなったり、炎症性のサイトカインが過剰に産生されたりして、蕁麻疹の発症や悪化につながる可能性があります。また、胆汁うっ滞による影響も考えられます。肝機能障害によって胆汁の流れが悪くなると、胆汁中の成分(胆汁酸など)が血液中に逆流し、皮膚に蓄積して強いかゆみを引き起こすことがあります。このかゆみから皮膚を掻きむしることで、二次的に蕁麻疹のような膨疹が現れたり、既存の蕁麻疹が悪化したりすることもあります。さらに、肝臓の解毒機能の低下も、間接的に影響する可能性があります。体内に蓄積した有害物質や老廃物が、皮膚への刺激となり、蕁麻疹を引き起こす一因となることも考えられます。これらの要因が複合的に絡み合い、肝機能が低下した際に蕁麻疹が出やすくなると考えられています。