うっ滞性皮膚炎は、足の静脈の血流が悪くなること(うっ滞)が原因で、皮膚に様々な症状が現れる病気です。初期には軽い症状でも、放置すると徐々に進行し、治りにくい状態になることもあるため、早期の発見と対応が大切です。うっ滞性皮膚炎の主な症状とその進行について理解しておきましょう。初期の症状としては、まず、足のむくみ(浮腫)が現れることが多いです。特に、夕方になると足首やすねのあたりがむくみ、靴下の跡がくっきりと残ったり、靴がきつくなったりします。また、足のだるさや重さ、疲労感を感じることもあります。この段階では、まだ皮膚に明らかな変化は見られないこともあります。進行すると、皮膚にかゆみや乾燥が現れ始めます。皮膚がカサカサしたり、粉をふいたようになったりし、かゆみから掻きむしってしまうと、湿疹(赤みやブツブツ、じゅくじゅくとした皮膚炎)が生じやすくなります。この湿疹は、治りにくく、繰り返し起こることが特徴です。さらに病状が進むと、皮膚の色素沈着が目立つようになります。血液中のヘモグロビンに含まれる鉄分が、うっ滞によって血管の外に漏れ出し、皮膚に沈着することで、足のすねや内くるぶし周辺の皮膚が茶色っぽく、あるいは赤黒く変色してきます。この色素沈着は、一度起こると元に戻りにくいことが多いです。そして、皮膚が硬く厚くなってくる(線維化)こともあります。慢性的な炎症やうっ滞によって、皮膚の組織が変化し、ゴワゴワとした感触になったり、象の皮膚のように硬くなったりします。この状態になると、皮膚の弾力性が失われ、ますます血行が悪くなるという悪循環に陥ります。最も重篤な状態が、皮膚潰瘍の形成です。血流が悪く、栄養状態の低下した皮膚は、非常に弱く、わずかな傷や刺激でも治りにくく、深い潰瘍(皮膚がえぐれた状態)を作ってしまうことがあります。この潰瘍は、強い痛みを伴い、治癒までに長期間を要し、細菌感染のリスクも高まります。このように、うっ滞性皮膚炎は進行性の病気です。初期のサインを見逃さず、早めに医療機関を受診し、適切な治療を開始することが、症状の悪化を防ぐために非常に重要です。
うっ滞性皮膚炎の主な症状と進行