飲酒後に蕁麻疹が出やすい、あるいは慢性的な蕁麻疹があり、アルコールとの関連が疑われる場合、医療機関ではどのような検査が行われ、何が分かるのでしょうか。まず、蕁麻疹の診断においては、詳細な問診が非常に重要です。いつから、どのような状況で蕁麻疹が出るのか、飲酒との関連性(飲酒後どのくらいで症状が出るか、特定のお酒で出やすいかなど)、アレルギー歴、既往歴、服用中の薬などを詳しく医師に伝えます。次に、皮膚の状態を観察する視診が行われます。蕁麻疹の特徴である膨疹(赤く盛り上がった発疹)の形や大きさ、分布などを確認します。アルコールが関与する蕁麻疹の場合、原因を特定するためにいくつかの検査が行われることがあります。血液検査では、まず肝機能(AST、ALT、γ-GTPなど)を調べ、アルコールによる肝臓への負担がないかを確認します。また、アレルギーが疑われる場合は、特定のアレルゲンに対するIgE抗体を測定することもあります(ただし、アルコールそのものに対するIgE抗体検査は一般的ではありません)。アルコールに対する反応性を調べるための検査として、アルコールパッチテストが行われることがあります。これは、アルコール(エタノール)を染み込ませたガーゼを腕の内側などに貼り、一定時間後の皮膚の反応(赤み、腫れ、かゆみなど)を見る検査です。陽性であれば、アルコールに対する皮膚の過敏性が示唆されます。また、アセトアルデヒドの分解能力を調べるために、ALDH2遺伝子多型検査(血液検査や唾液検査)が行われることもあります。この検査で、アセトアルデヒドの分解酵素の活性が低いタイプであると分かれば、少量のアルコールでもアセトアルデヒドが蓄積しやすく、蕁麻疹などの症状が出やすい体質であることが推測できます。これらの検査結果と、問診や診察所見を総合的に判断し、医師は蕁麻疹の原因やアルコールとの関連性を評価し、適切な治療法や生活指導を行います。
蕁麻疹とアルコール検査でわかること