耳の下が腫れて痛む場合、主な原因として考えられるのが「リンパ節炎」と「耳下腺炎」です。どちらも炎症によって腫れと痛みが生じますが、原因や特徴、治療法が異なります。まず、リンパ節炎は、細菌やウイルスなどの病原体がリンパ節に侵入し、炎症を起こす病気です。耳の下や顎の下、首筋には多くのリンパ節があり、これらは体内に侵入した異物と戦う免疫機能の拠点となっています。風邪や扁桃炎、虫歯、歯周病、中耳炎など、顔や首のどこかに感染や炎症が起こると、その近くのリンパ節が反応して腫れ上がり、押すと痛んだり、何もしなくてもズキズキとした痛みを感じたりします。腫れているリンパ節は、コリコリとしたしこりのように触れることが多く、通常は数ミリから1センチ程度の大きさです。原因となっている元の感染症が治癒するとともに、リンパ節の腫れや痛みも自然に軽快していくことが多いですが、細菌感染が強い場合は抗菌薬の投与が必要になることもあります。一方、耳下腺炎は、耳の前下あたりにある唾液腺の一つである耳下腺が、ウイルスや細菌に感染して炎症を起こす病気です。代表的なものに、ムンプスウイルスによる「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」があります。おたふくかぜの場合、片側または両側の耳下腺が大きく腫れ上がり、押すと強い痛みがあります。発熱や頭痛、食欲不振といった全身症状を伴うことが多く、唾液の分泌が多い食事(酸っぱいものなど)をとると痛みが強くなるのが特徴です。おたふくかぜ以外にも、他のウイルスや細菌が原因で耳下腺炎が起こることもあります(化膿性耳下腺炎など)。また、唾石症といって、耳下腺の中に石(唾石)ができると、食事の際に唾液の出口が詰まり、耳下腺が急に腫れて激しい痛みを伴うことがあります。これらの耳下腺の病気は、主に耳鼻咽喉科で診断・治療が行われます。超音波検査などで状態を確認し、原因に応じた治療(抗ウイルス薬、抗菌薬、消炎鎮痛薬、場合によっては唾石の除去など)が行われます。
リンパ節炎?耳下腺炎?耳の下の腫れと痛み